Q1. 学芸員の仕事について教えてください。
高校生に学芸員とは何をする人ですか?と質問しても想像し難いようですね。でも、美術やデザインを目指している人に、美術館は知っていますか聞くと、「知っている。」と答えますので、美術館で働くために必要な資格が学芸員資格なのですよ、と説明します。学芸員の仕事は、大きく分けて“収集・保存”、“調査・研究”、“展示”と“教育普及”があります。教育普及は、学校や地域と連携したり、子供や高齢者の方まで、美術の楽しさや、新たな発見、実際につくってみたり、技をみがくことなど、教えていくというエデュケーターの仕事です。学校連携担当の学芸員がいるほど、今、もとめられている仕事があります。
Q2. 先生のお仕事で印象に残った企画展は何ですか?
私の専門は、ニュース映画やドキュメンタリーの分析ですが、企画展では、マンガをイラストレイテッドアート(イラストの手法で描かれた芸術)という視点から、いくつかの展覧会を担当しました。その一つが、2004年、CLAMP※との仕事です。例えば、駅からミュージアム間のバスに、描き下ろしの作品をラッピングして走らせて、それが街を走るアートのバスとなり、バスも前庭に一時的に展示しました。他にも、新作を着物のファッションショーとして行いました。CLAMPのアイディアで、着物に描いた作品で、4人のモデルが、美術館を舞台に、照明、音楽も、演出されたイベントでした。入り口付近では大規模なCLAMPグッズの販売スペースを設け、公式サイトも立ち上げました。これらの企画はCLAMPと一緒に考案し、実現させました。会期中は至る所に、CLAMPグッズを埋め尽くし、日本全国から今までにないほどの反響がありました。
※大川緋芭、もこな、猫井椿 いがらし寒月 女性4名からなる創作集団。
Q3. これから学芸員を目指す人にアドバイスをお願いします。
東美の学生さんは、本当に描くのが好きだと思います。だから、学芸員の資格も、ぜひ、チャレンジして欲しいと思います。美術やデザインを、子供や高齢者に教えるエデュケーターとしての道にも進んでもらえたら嬉しいです。美術館の教育普及は、美術館のスペースを利用してワークショップを行うものだったり、ユニークな教材を開発したり、これからの仕事です。今は、知識よりも、むしろ感性を育むことが大事だと思います。美術やデザインについて、まだ良く知らない人たちに、感じることや、きれいだと思えること、カワイイと感じることなど、感性を鍛えるには、どうしたらいいのか。それはアートをとおして知ることが出来るものです。だから、学校で教えてもらった技術を、将来、教える立場になって、自分の作品も創りながら、地域や社会に貢献できる人として、育って欲しいと願っています。
濱崎好治氏プロフィール
日本大学芸術学部映画学科卒。在学中より構成作家としてテレビ番組制作に携わる。テレビ電話の開発、コンピュータグラックスを使ったGUIの研究などに従事し、映像のアーカイブのリサーチを契機に、川崎市市民ミュージアム映像部門学芸員として仕事を始める。「鳥山 明の世界展」「CLAMP四」「韓国現代マンガ展」の企画、「少女マンガパワー展」で水野英子のマンガの描き方・効果線の描き方のドキュメンタリーを制作。最近の研究分野はニュース映画のデジタルアーカイブ、マンガの原画保存。慶應義塾大学DMCと動画配信の共同研究を実施。東京学芸大学、早稲田大学、清泉女子大学、青山女子短期大学の非常勤講師。「文部科学省 社会教養映画部門」審査員等。
著作等:『展覧会の創造現場をデジタルアーカイブ。インタラクティブな形式に構成したDVD-ROMを書籍のように流通させる試み』(デジタルアーカイブ白書2004)他。文部科学省委託 インターネットによる生涯学習支援 「エル・ネット学習コンテンツ制作・契約ガイドライン」制作委員ほか。



