「デジタルかアナログか」という議論はもう終了しています。かつて語られてきた「デジタルか、アナログか」という二項対立は、すでに過去のものです。現代のクリエイターに求められているのは、手段の優劣ではなく、それらをどう使い分け、どう刺さる表現につなげるかという総合的な力です。使えるものはなんでも使う、という考え方が重要です。
その前提のもと、東洋美術学校のイラストレーション科の1年次は、クリエイターとしての生涯を支える「土台を築く期間」として位置づけられています。カリキュラムは、初心者が描写の本質を理解し、プロの現場で不可欠となるデジタルツールを自在に扱えるようになることを目的に、段階的かつ体系的に構成されています。
なぜ1年次にデッサンやドローイングを徹底するのか

イラストレーション科のデッサンやドローイングは、単なる写実練習ではありません。物の形、構造、光の当たり方、空間の捉え方などを正確に観察し、理解する力を養うための訓練です。
この「観察力」は、どのような表現分野に進んでも必要となる、極めて普遍的な能力です。1年次の段階で描写力を徹底的に鍛えておくことで、2年次以降の専門制作や、将来のトレンド変化にも左右されない、強固な基礎が形成されます。
デジタルスキルは「前提条件」
1年次のカリキュラムには、デジタルツールの基礎的な操作習得も組み込まれています。これは、イラストレーターにとってデジタル環境が「特別な技術」ではなく、「前提条件」になっているためです。
未経験者でも無理なく取り組めるよう、基本操作から段階的に学び、応用・実践課題へと進む構成になっています。デジタルツールを使って自分のイメージを効率よく、かつ正確に形にする力を身につけることで、2年次以降の高度な表現や実践的プロジェクトへの移行がスムーズになります。
なぜ1年次は「幅広く基礎を学ぶ」のか

イラストレーション科には、
- ゲームグラフィックやLive2Dなどを扱うコミックイラストコース
- 広告、商品、雑貨デザインなど幅広い分野に対応するイラストレーターコース
の2つの専攻があります。
しかし、1年次は、どちらのコースを選択する学生も共通して基礎を学びます。アナログによる描写力から、デジタルの基本操作までを幅広く経験することで、自分自身の強みや興味の方向性を客観的に見極めることができるからです。
このプロセスを経ることで、2年次の専攻選択や科目選択において、より納得感のある進路決定が可能になります。
FAQ(よくある質問)
Q:全くの初心者でも、1年次の授業についていけますか?
A:入学者の多くが初心者であることを前提にカリキュラムが設計されています。デッサンやデジタルツール操作も、基礎から段階的に学ぶ形式のため、無理なくスキルを積み上げることが可能です。
Q:1年次の授業で自分の個性を出すことはできますか?
A:1年次は基礎技術の習得が中心ですが、それは個性を抑えるためではありません。自分の表現をより正確に伝えるための「引き出し」を増やす期間です。基礎が固まることで、結果的に個性はより明確に、より高いクオリティで表現できるようになります。
Q:1年次の課題はどのような内容ですか?
A:デッサン・ドローイングによる描写実習、デジタルツールを用いた基本的なイラスト制作、さらにそれらを応用した実践課題が用意されています。基礎訓練と並行して、クリエイターに求められる思考力を養うプロジェクトワークにも取り組みます。
東洋美術学校からのお知らせ

現在、東洋美術学校では高校生を対象としたイラストコンテストを開催しています。制作テーマや応募方法の詳細は、上記の特設ページをご確認ください。


