古文書を修復するとき、一番大事なことは何でしょうか。それは、今の状態をできるだけ変えずに、傷んでいるところを直すことです。過去から現在に伝わってきた資料を、未来へ遺していくために修復を行います。東洋美術学校の保存修復科では、その考え方を実資料の修復を通して学んでいきます。
修復とは、損傷箇所を直すだけではない
文書の修復は、傷んだ箇所を繕えば終わり、というものではありません。
事前の調査を行い、補修などの必要最小限の処置をして元の形状に仕立て、修復後の記録を残すところまでが、ひとつながりの修復です。損傷を直すことと、その過程と結果を記録に残すこと。この二つは切り離せません。

実際の資料を、自分の手で修復する
授業では、所有者から借用した本物の古文書を扱います。
古文書を所有している方から資料を借用し、講師の指導のもと、手漉き和紙など本格的な材料と道具を用いて、学生自身が修復を行います。この世に二つとない貴重な資料を預かるため、「失敗したので弁償します」ということは許されません。修復経験が乏しくても実資料を扱う以上、各自が責任を持ち、真剣に取り組む姿勢が求められます。

和紙で補強し、記録に残す
傷んだ紙を直す作業は、細やかな手仕事の積み重ねです。
穴の開いた箇所には、新しく和紙を貼って補強します。その際、貼り合わせて厚くなった部分は、メスを用いて薄く削っていきます。失敗が許されない作業のため、集中して慎重に処置を進めます。はじめは緊張するかもしれませんが、二つとない資料をやり遂げた達成感は、一人ひとりの将来にとってかけがえのない経験になるはずです。


いつ学ぶのか──3年次「文書保存修復」
文書の保存修復は、保存修復科の3年次に本格化します。
3年次には、実際の調査から問題点を明らかにし、保存計画を立て、丁寧に処置を進めていきます。同じ3年次の「洋紙保存修復」では、洋紙を支持体とした資料や作品の保存修復の基礎を学びます。紙という素材そのものへの理解は、4年次の「紙文化財の保存科学研究」にもつながっていきます。
保存修復科で学べること
文書修復は、東洋美術学校 保存修復科が扱う分野の一つです。
保存修復科では4年間をかけて、油彩画・木製品・日本画・染織品・洋紙など複数分野の修復と保存科学を実践的に学びます。文書修復を含む各分野の学びは、保存修復科の学科ページで紹介しています。カリキュラムや進路の方向性は、資料請求でより詳しく確認できます。
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