2025年3月8日(土)〜9日(日)に開催された外部イベント「DANCHI Caravan in 町田山崎」への参加レポートをお届けします。
「多摩産材利用を目的としたデザイン提案」に挑戦
クリエイティブデザイン科 高度プロダクトデザイン専攻 2年・3年は、授業「ACTIVE DESIGN」の一環として、株式会社東京・森と市庭と産学連携し、一年を通して “多摩産材利用を目的としたデザイン提案を目指す” 課題に取り組んでいます。
多摩産材とは?
東京都内の多摩地域で生育し、その地区で生産・認証された木材を「多摩産材」と言います。多摩地域の適正に管理された森林から生産されたことが「多摩産材認証協議会」によって証明されたものが「認証材」となります。
2024年度のデザインテーマは、木材 × 子供 × 遊び × 防災
今回は奥多摩の「木材」を利用した「遊び」の考案に挑戦しました。
連携企業の株式会社東京・森と市庭では、保育園や幼稚園に向けたワークショップ事業や遊具制作の実績があることから、ターゲットを「子供」に絞ってデザインをアウトプット。
そして、3月に町田山崎団地で開催されている「DANCHI Caravan in 町田山崎 -つながる防災祭-」での成果発表を最終目標に、イベントテーマ「防災」についても考えていきました。
「DANCHI Caravan in 町田山崎 -つながる防災祭-」とは?
「防災」をメインテーマに、「もしも」の時に備える知識を学ぶことを目的としたイベントです。
このイベントは、2015年に町田山崎団地でスタートしました。独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が主催し、株式会社良品計画(「無印良品」運営)が企画・運営を行っているもので、地域住民が楽しみながら防災について学べる機会として、毎年開催されています!
🔗公式サイトはこちら https://danchicaravan.jimdosite.com/
プロジェクトの進行
まずはじめに、学生たちは 奥多摩の森林現地でのフィールドワーク を実施し、林業の現場や木材の特性について学びました。
その後、株式会社東京・森と市庭の方々にアドバイスをいただきながら、デザインテーマに基づいて企画・制作を進行。
学生たちは 「変える、ちょっとだけ。」 を全体コンセプトに決め、3チームに分かれてワークショップを展開することを決定しました。
全体コンセプト「変える、ちょっとだけ。」
日本に住む以上、災害は避けられない。私たちはこれまで幾度となく日常を壊され、失い、そして立て直してきた。もう何も失いたくない——誰もがそう思っている。
ひとつしかない命を守るために、先人の知恵や教訓を活かせているだろうか?
もちろん、万全な防災対策ができれば理想的だ。しかし、万が一のためだけに日々の暮らしの心地よさや、自分らしい趣味を我慢するのは難しい。だからこそ 「ちょっとだけ」 変えてみる。
受け継がれた教訓を、小さな意識や行動として習慣化する。それだけで、自分や誰かの命を守れるかもしれない。小さな心がけが、大きな変化を生む——未来を変える 「ちょっとだけ」 のデザイン。
学生チームによる成果物(ワークショップ)紹介
子どもから大人まで楽しめるバランスゲーム「きづ木」

“揺れに気づき、遊びで繋ぐ” 防災×バランスゲーム
意識を切り替える、ちょっとだけ新しい防災トイ「きづ木」
木の形を模したベースの上に、いろいろな形の木片を乗せたり、そっと取り除いたりしながら遊ぶバランスゲームです。みんなで楽しめる、ゆらゆらドキドキのバランスゲーム。遊んでいないときは、棚の上などに飾ることで、揺れを知らせるシンボルの役割を果たします。
ベースの角度や大きさ、木片のサイズや重さを工夫することで、小さな子どもから大人まで誰でも気軽に楽しめるプロダクトに仕上がりました!
製材時に捨てられてしまう「丸太の切れ端」を土台に活用しているところもポイントです。
想像するワークショップ

木材を実際に触り、香りを嗅ぎ、音を聴き、そして形を見て想像する。
様々な形の木材(節があって製材としてはあまり好まれない部分)を用意し、参加者の皆さんに「この形、何に見える?」と想像してもらうワークショップを行いました。
一見するとただの木のかたまりでも、ちょっと視点を変えてみることで、新しい発見や面白いアイデアが生まれることを体験していただきました。
「復興の木」シンボルツリー

一人ひとりの願いを集めて成長する「復興の木」
会場に「復興の木」と名づけられたシンボルツリーを設置し、来場者の方に「願い」や「想い」を短冊のように飾ってもらうプロジェクトです。
短冊は、イチョウ、カエデ、ケヤキ、タモ、トチ、ヤブコウジの6種類の木の葉をモチーフにしており、それぞれの葉には願いにちなんだ「木言葉」があります。たとえば、ケヤキは「幸運」、トチは「健康」など、意味を知ることで選ぶ楽しさも広がります。
参加者は好きな葉を選び、思い思いの色で彩り、自分の願いを込めてメッセージを書きます。そして、「復興の木」の好きな枝を選び、願いを飾っていきます。
たくさんの人の想いが集まり、DANCHI Caravanの象徴となる、心あたたまるツリーが完成しました!
■ イベントを終えて
初日は雪に見舞われたこともあり、来場者は少なめでしたが、2日目は一転して快晴に。
なんと 200名以上 の方々にブースを訪れていただきました!
2日間にわたって、多くの方々と交流しながらワークショップを実施することができ、学生たちにとっても大きな達成感と学びを得られる貴重な体験となりました。
今後も「デザインの力」で社会とつながり、新たな価値を創出していく活動を続けていきます。
[4年制] クリエイティブデザイン科高度プロダクトデザイン専攻について
家電製品、生活用品、おもちゃ、文具、カーデザインなどの工業製品のほか、アクセサリー、工芸作品などクラフトまでを学び、プロダクトデザイナーから工芸作家まで「モノづくり」のスペシャリストを目指す学科です。
製図やスケッチ等の表現技術の基礎、モデリング等の立体造形の基礎を学び、様々な素材を用いた演習で視野を広げます。また、デザイン制作における一連の過程を学びます。応用で実践的な技術を身につけ、3〜4年次は異素材を組み合わせた制作や展示を通して更なる造形美を目指します。また、プレゼンテーションや産学連携授業で課題発見の目を養います。