文化財の分野では、さまざまな場面で写真撮影を行います。対象の保存管理、現状の記録、損傷状態の調査、修復方針の検討、そして報告書の作成まで。こうした撮影では、対象の色や形、表面の質感や印象を正しく写し取ることが求められます。東洋美術学校の保存修復科では、この記録撮影の技術を「写真演習」で学んでいきます。
なぜ、記録撮影に特有の難しさがあるのか
撮影の対象が貴重な資料であること自体が、大きな制約になります。
撮影で扱うものの中には、歴史の中で遺されてきた貴重な資料や美術品、所有者の想いが込められたものがあります。その多くは、構造や材質、劣化の状態から取り扱いが非常に難しいものです。撮影中に資料が劣化したり壊れたりしないよう、あらゆることに注意を払いながら撮る必要があります。記録の正確さと、資料を守ることを同時に成り立たせる。そこに、この撮影の難しさがあります。

どのような機材を扱うのか
授業では、修復の現場で実際に使われる機材に触れます。
一眼レフカメラや、ジャバラのついた大判カメラといった撮影機材、ストロボや白熱球、LEDランプといった照明機材を扱います。露出計で光の強さを計測し、適切なライティングに調整していきます。ライティングの仕方やカメラの設定、作品の扱い方など、さまざまなことを応用的に学びながら、安全かつ確実に必要な写真を撮る技術と感覚を身につけていきます。


いつ学ぶのか──1年次から上級学年へ
写真演習は、早い段階から始めて上級学年の実務につなげます。
1年次の「写真演習」で撮影の基礎に触れ、2年次の「写真演習」で応用へと進みます。ここで身につけた記録撮影の技術は、上級学年で実際の修復処置を行う際に欠かせません。撮った写真の補正、つまり写真画像を修正する技法も授業で学び、卒業研究の模写作品を撮影する場面へとつながっていきます。三次元の計測など、記録技術が保存の現場で果たす役割は年々広がっています(ノートルダム大聖堂の事例から見る三次元レーザ計測)。


保存修復科で学べること
写真演習は、東洋美術学校 保存修復科の学びを支える技術の一つです。
保存修復科では4年間をかけて、油彩画・木製品・日本画・染織品・文書など複数分野の修復と保存科学を実践的に学びます。写真演習を含む各分野の学びは、保存修復科の学科ページで紹介しています。カリキュラムや進路の方向性は、資料請求でより詳しく確認できます。
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