昼間部 4年制学科

保存修復科

6分野の「保存修復」を実践しながら、文化遺産を後世に残すためのスキルを習得します。

油彩画・日本画・染織品・木製品・洋紙・文書の6分野にわたる保存修復を徹底的に習得。美術作品への造詣はもとより、多くの実習の機会を通じてその作品を取り扱うための心構えや作法も学びながら、専門技術の習得を函ります。さらに、化学、物理、生物、美術史、書誌学などの座学も充実。保存修復の自然科学としての側面を学んだり、資料の文字情報を読み解く力を伸ばしていきます。

POINT


就職実績

東京国立博物館、国立公文書館、外務省外交史料館、㈱修護、㈱墨仁堂、㈱資料保存器材、㈱スタジオ三十三(文化財複製制作)、㈱堀内カラー、イカリ消毒㈱、㈱世界堂、NPO法人カビ相談センター、東京ビジネスフォーム㈱(製本関連)など他多数

めざす職業

  • 表具師
  • 資料収蔵機関職員
  • 修復工房職員
  • 保存修復関連企業
  • 環境管理関連企業
  • 美術品輸送会社
  • 撮影スタジオ
  • 学芸員
  • 大学院進学
  • など

授業紹介

※ 授業は抜粋して紹介しています。

1年次

保存箱作成
美術館や博物館では貴重な資料を安全に残していくために、中性紙の段ボールなどでつくられ
た「保存箱」に収めて管理しています。保存箱の制作技術は学芸員などにも求められる基本的な技術です。

講義科目/レポート
文化遺産を構成する材料の基礎知識や、保存修復分野で必要となる自然科学や美術史、書誌学などの理解を目標とします。(文化遺産保存学入門、西洋美術史、コンサバター入門など)
また、多くの授業においてレポートを提出します。実験結果やその過程をまとめることで、内容を整理し、理解を深めます。

木製品修復基礎
仏像などの木製彫刻作品の修復を行うために必要となる基礎的な技術を身につけます。1年次では、自分の手の形にあった彫刻刀の柄の作製から始まり、道具の持ち方や手入れの仕方、基礎的な彫りの練習を行っていきます。2年次ではこれに岩絵具による彩色を施し、作品を完成させます。

和装本製作技術
実際に自分の手で本をつくることを通して和装本の構造を理解することを目的とし、「尺差し」や「目打ち」といった伝統的な道具と材料を用いて和装本の基本的な装丁技術を学びます。

2年次

IPM実習
IPM(総合的有害生物管理)は薬剤だけに頼らず、文化財への生物被害を防除する手法です。人や環境、文化財への影響を考慮し、特に清掃や温湿度管理などの環境対策を講じることで、虫やカビなどの微生物による被害を防止する方法を学んでいきます。

日本画保存修復
生徒が一枚の色紙を担当し、調査から修復までを行います。染みや付着物などを取り除き、酸性のボール紙は中性の紙へ交換します。修復を終えた作品は、中性紙の畳紙(たとうし)に包んで保管します。

3年次

油彩画保存修復
絵画の修復では絵の具の剥落箇所を目立たなくするため色や形を補います。絵の具層の厚み分だけ二水石膏と膠(にかわ)でつくった充填剤を詰め、周囲のキャンバス目や絵の具の筆致などとつながるように形を整え、可逆性のある絵の具で補彩をします。

4年次

卒業研究
4年間の集大成として、各自で保存修復に関するテーマを決定し、研究に取り組みます。最終的には卒業制作展で研究発表として展示発表します。

カリキュラム

1年次

実技と講義を通して保存修復に必要な理論と倫理を学びます。

  • 水彩模写
  • 油彩画
  • 日本画
  • 木製品修復基礎①
  • 洋式製本技術
  • 和装本製作技術
  • 保存箱作成
  • 文化遺産保存学入門
  • 写真演習①
  • 物理
  • 基礎化学
  • 西洋美術史
  • 英文講読①
  • 保存科学
  • コンサバター入門
  • 学芸員資格認定試験科目(選択)

2年次

様々な実習を通して道具、材料、技術についての理解を深めます。

  • 日本画模写
  • 日本画保存修復
  • 木製品修復基礎②
  • 予防保存学
  • マンガ原画保存
  • 染織品修復基礎
  • 油彩画修復基礎
  • 写真演習②
  • 英文講読②
  • 日本美術史
  • 保存科学
  • 光学調査①
  • IPM実習
  • 梱包実習
  • 学芸員資格認定試験科目(選択)

3年次

実習を通して各分野の保存修復作業を経験します。

  • 洋紙保存修復
  • 文書保存修復
  • 洋式本保存修復
  • 染織品保存修復
  • 油彩画保存修復
  • 表装技術
  • 材料試験法
  • 光学調査②
  • 地域文化遺産調査
  • 科学分析診断法
  • 東洋美術史
  • 学芸員資格認定試験科目(選択)

4年次

4年間の総まとめと進むべき道の方向性を決定します。

  • 木製品保存修復
  • 書誌学
  • 紙と保存と修復
  • ポスター演習
  • 研究論文作成
  • 卒業研究

時間割例

 
1限目
9:00〜10:30
 

洋紙
保存修復

染織品
保存修復
油彩画
保存修復
文書
保存修復
洋式本
保存修復
2限目
10:40〜12:10
東洋
美術史
3限目
13:00〜14:30
地域遺産
調査
4限目
14:40〜16:10

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授業風景

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